圧倒的なボリュームで、日本語のいろいろな言葉を定義しなおす辞典。
筒井康隆には、ビアス「悪魔の辞典」の翻訳や「乱調文学大辞典」などの
辞典の著作がありますが、これは質量ともにその決定版でしょう。
思えば代表作「脱走と追跡のサンバ」に、すでにいろいろな
言葉をでたらめに定義する数ページがあります。
筒井康隆という人はいろいろな言葉を網羅的に定義し直すことに
異様な執念を持っているようです。
それはトマス・ピンチョンみたいに、世界全部を
一冊の本に収めたい、という異常な欲望に通じているように
思えます。
筒井康隆の小説の迫力、ラジカルさのエッセンスが
この辞典の項目からにじみ出てきます。
小説のように最初から順を追って読むのではなく、
本棚において、ときどき取り出して眺めるのが楽しい本です。
どこを開いても思いがけない発見があります。
函入りで、造本がひじょうに美しいです。
函から取り出すと、「あっ」というしかけがあります。
私は気づくのに時間がかかりました。