まず、本書は一般人が「新古典派」経済学に対して持っている誤解を解くことを念頭に執筆された新書です。
一般に「新古典派」はケインズと対極の側にある市場原理主義として解釈されています。
しかし、これは第二次世界大戦後のアメリカ経済学の一流派にすぎないものだと述べています。
マーシャル以降の「新古典派」は理論と実践のバランスをとり、
なおかつ道徳・倫理を重視する経済学派であります。
以上のように、マーシャル以降のケンブリッジ派は市場原理志向の
「新古典派」とは異なることを指摘しています。
もう一つの誤解として、ケインズが新しい理論を打ち立てたと思われています。
しかし、本書では、今や忘れかかっている、マーシャル以降のケンブリッジ派の人々に触れながら、
彼らが生み出したの理論がケインズにもちゃんと受け継がれたとし、
ケインズをマーシャルの「新古典派」をまとめ上げた人としています。
経済学の多少の知識は要求されますが、「ケインズ主義」再考にちょうどよい新書だといえます。