「物質消費」から「情報消費」へ。
こういった標語を掲げることは容易であっても、
それを論理的に、誰にでも理解を促す形で、
もしくは誰にでも反論する余地の可能性を含んだ形で、
表現することは容易ではない。
新書であることの意義は何であろうか。
一つには、専門家ではない一般層への啓発を
少なからず含むということが挙げられると思う。
同時に著者は、自身の主張の核心を薄めてしまうほどの平明文は書かない書き手である。
それゆえに、本書は専門書ほどがっちりと体系だってはないが、
新書としては多少難解であるという所に位置することになったように思える。
一章〜三章で現代社会の「光」と「闇」の部分を実証的に論じた後、
四章では、その解決の方向として多少難解な論理が展開される。
だが考察も論理も徹底している。晩年の著作だけに筆力も十分。
これ以上の文を望むのは難しいとは思うが。
本書が現代社会の理論の外部問題を扱ったものであるとすると、
その内部問題を論じたのが続編の『社会学入門』。
著者自身の内部問題を論じたものとしては前作『自我の起原』を読みたい。