台所からチッキンへ変わったのは単にカタカナ表記となっただけではなく、そこで紡がれる詩の内容も「女であることの苦悩、女であることを否定する詩」より「女であることを謳歌する詩」へと移り変わったようです。そしてチッキンそのものの在り方が不確かなものとなった今、女性の紡ぐ詩は何処へ向うのか大変興味があるところです。
さて、高橋順子編による本著ですが、詩集等を刊行している所謂著名な女性詩人のみならず日の当らぬ場所に埋もれかけた女性詩人の作品をも暖かい眼差しの解説を添え丁寧に紹介されています。
編者のまえがきからは本アンソロジーを編集するに際しての熱い想いが綴られており、「生きていくためには詩をかかずにはいられなくて、そういう現代詩との源流とははずれたところで自己流に書いてきた女性詩人は少なくない。その言葉は洗練を欠いているかもしれないが、破れそうなほど内圧が高かったり、血を流していたりする。そういう言葉を私はもう一度聞きたかったのである」と結ばれています。
自らの拠るべき位置を確めようとする若い女性詩人はもとより、「台所で君に話しかけたい」男性諸氏にもお奨めします。