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現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス)
 
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現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) [単行本]

高原 基彰
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

今日、すべての人が被害者意識を抱え、打ちひしがれている。現代日本を覆うこの無力感・閉塞感はどこから来たのか。石油危機に端を発する「七三年の転機」を越えて「超安定社会」というイメージが完成した七〇年代から、バブル景気を謳歌した八〇年代を経て、日本型新自由主義が本格化する九〇年代、二〇〇〇年代まで。政治・経済システムの世界的変動を踏まえながら、ねじれつつ進む日本社会の自画像と理想像の転変に迫る。社会学の若き俊英が描き出す渾身の現代史、登場。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高原 基彰
1976年、神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員。聖公会大学校(韓国)訪問研究員をへて、現在、中国社会科学院訪問研究員。専攻は社会情報学、東アジア地域研究。日韓中の開発体制の変容とグローバル化にともなう社会変動を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 281ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2009/08)
  • ISBN-10: 4140911409
  • ISBN-13: 978-4140911402
  • 発売日: 2009/08
  • 商品の寸法: 18.2 x 12.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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By 昏睡
形式:単行本
「小泉改革」の熱狂から数年、改革の行く末に不安を抑えきれなくなった国民は、その内実がよくわからないままに「政権交代」を選択した。
いま憧憬の的となっているのは、誰しもが今と同じか、願わくば今より少しマシな生活水準を堅持できる「安定」社会なのかも知れない。

しかし「安定」した生活とは具体的に何で、どのようにしたら手に入れられるのか。誰が「安定」した生活を邪魔していて、誰がその被害を受けているのか。一部の人だけが恩恵を受け、多くの人々が明日の不安におびえるような社会は、どのように変えていったらよいのか。こうした問題を大局的な見地から考えるための材料は、思った以上に手に入りにくい。人々はただ目の前の不満感だけを募らせ、冷静に思考する習慣を失っているようにも見える。

こうした不安に満ちた今日の社会状況を見据えたとき、20世紀後半のこの国が辿ってきた政治経済的変動を分かりやすく総括した本著は、来るべき社会の在り方を構想するためのヒントを提供してくれる。

もう、昭和のホームドラマに見られるような安定した家族や会社生活は手に入らない。その現実を見据えた上で、国民全員が責任をもってこの国の将来を選択していくしかない、そんなメッセージが本書の随所から聞こえてくる。

これからの日本と、それとは切り離すことができない自分の将来を考えたい人にとっての好著である。
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19 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本書は若手社会学者による現代史の本である。後発国の近代化路線が、1973年を境に左右の反近代主義に変わり、90年代に入って新自由主義が登場してくる流れを描いている。社会学者が書いた現代史には、北田暁大の『嗤う日本のナショナリズム』や、吉見俊哉の『ポスト戦後社会』などがあるが、北田のように文化がメインではないし、吉見のように焦点のぼやけた(失礼)ものでもない。日本の社会像の来歴を真正面から描こうとした著作である。

「右の反近代主義」とは「日本的経営」「日本型福祉社会」「自民党型分配システム」からなる雇用と福祉に関する日本型モデル(H・ハルトゥニアンの「超安定社会」)を指している。左の反近代主義とは、これを批判してきた文化左翼系アカデミズムの対抗言説のことである。右が自民党と大企業、左がアカデミズムでは、バランスがとれていない気もするが、これは戦後の日本では雇用と福祉が政党政治の対立軸にならなかったことを反映している。

著者は、右の「安定」に対置された左の「自由」が、マイノリティの問題として議論されたり、日本型モデルの外部にでることとして空想されたりした結果、「超安定社会」に替わる日本の社会像が真剣に考えられてこなかったことに怒っている。対抗言説の多くは日本型モデルを前提とした議論なので、日本型モデルが崩れて新自由主義が現れても、これをきちんと批判することができなかった。これは、ニューアカや国民国家論がどこにも着地しなかったことや、ケアの社会化やNPOの議論が新自由主義と親和的なことを考えれば、深く頷ける指摘である。また、全体に関するオルタナティブなビジョンがないから、正社員vs非正社員といった利害対立の構図だけが乱立し、被害者探しになってしまうのであろう。

人文系の読書人は「よく知っている話だ」と思うかもしれないが、一般読者に向けて分かりやすくまとめた本は、これまでなかったはずである。じっさい読んでみると色々と発見がある。

また、これは「一部の日本人はよく知っている」だけであって、知らない人のほうがたぶん多いのである。もちろん、韓国や中国の人は知らないだろうし、日本の会社員や大学生だってよく知っているとはいえないだろう。著者が本書を上梓した狙いもそのあたりにあるのではないだろうか。その意味で、この本が日本で幅広い読者を獲得することと、中国、韓国でも出版されることをぜひ期待したい。
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形式:単行本
 この著者がうまく整理したように、戦後日本の保守派は、日本型雇用慣行によって日本社会の安定さ(総中流社会)が成立していることを言祝いだ。一方の革新側は、総中流社会の保守性を批難する一方、その外部にある在日・部落・障害者などのマイノリティ問題を積極的に論じた。保守と革新が紡いできた言説は、日本型雇用慣行が総中流社会をつくりだしているという事実認識という点において、同じ土俵に立っており、保守派はそれを言祝ぐことによって近代を乗り越え、革新側はそれを否定することによって近代を乗り越えようとしたわけである。
 今の日本社会の鬱屈さは、たんに景気の悪化だけに求められるのではない。日本企業が中間層をつくりだすという想定ができないにもかかわらず、それ以外の日本社会イメージがいまだ描けていないところに由来していることが本書を通じて理解できた。それは、高原の前著を踏まえれば、ひとり日本だけの話でなく、韓国・中国にも共通する問題である。
 日本は、明治維新以降、近代化を急速に進めてきたが、それは近代日本においてある種の痛みをともなったプロセスでもあった。近代化とは、西欧の帝国主義を引き受けることなのか。それとも西欧の帝国主義以外の近代化とはあり得るのか。戦前日本の知識人はそうした問題と格闘するはめになった。こうした格闘のひとつの頂点が河上徹太郎などによる「近代の超克」の座談会であったが、結局、この座談会は、日本の帝国主義の正当性を糊塗するものに終わってしまった。
 後生の私たちは、この座談会を笑うことなどできるだろうか。戦後日本の言説状況も、じつは「近代の超克」をくりかえしていたのではないか、というのが著者の言外の問いかけではないだろうか。ほんとうに切実に自国を考える人々にとって、本書はかならず有益なものとなるだろう。
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