日本の大学は2011年に入って、自ら抱える危機が災害によって更にその危機的状況に加速が罹った。日本の大学はもとより千年以上の歴史を持つ欧米の大学に較べて組織力や資産力が乏しく、生物に喩えれば、百年そこしか歴史もない。(昔、ハーヴァードから日本の高等教育調査に来日したChinese-Americanの教員に言われた一言、日本で欧米に比肩できる大学規模を持ちえているのは東大だけ)それに追い討ちをかけるが如く、独立行政法人化が進められ、毎年1%の予算削減を受け続け、その挙句に東日本大震災で800億の研究設備に損害を出した東北大学、原発被害の福島大学など、見方によれば終末的な被害に見舞われた。
それに挫けることなく、前進あるのみと理念と現実の両方を踏まえた座談会、科学哲学者として同時に副学長として大学研究者のあるべき姿を災害を踏まえて再論した野家啓一各氏らの議論は厚い。
また科学社会学、科学倫理やSTS研究者たちによる「科学」の再検討課題を紹介しており、これも興味深いが、大学総体を踏まえる限り、金森修の「公共性の黄昏」は特集の趣旨を再度冷静に見つめなおさせるテーマで刺激的。
更に新たな連載として、近藤和敬の「真理の生成」も興味深い、今後が楽しみ。