これはとてもよくできた特集です。大満足!
書き手の肩書きが文末に出ているのでチェックしてみたら、とくにおもしろかった
のはアメリカ文学畑の方たちのエッセイでした。わたし自身はこの方面にそれほど
明るいわけではないのですが、そんな読者に対する配慮をどなたもされているよう
です。読みやすい。
まず予言者詩人の系譜からディランを論じた飯野友幸氏の論考が、バランスよく勘
所をおさえています。一方山内功一郎氏はディランのトリックスター的な性格に注
目して、切れ味鋭く同時代の詩人たちとの対比を試みています。そして堀内正規氏
は多角的な視点から、自分自身を発明するディランの自在な生成変化をあぶりだし
ています。
たぶん全体的な総括という点では、佐藤良明氏の談話録が一番よく整理された展望
を示しているのではないかと思います。これをまず読み、その上で先に触れた方々
の個別的な分析を読むのが、この特集の楽しみ方として有効な方法の一つではない
かと思います。
その他におもしろかったのは、音楽評論家の湯浅学氏の談話録でした。ひょうひょう
とした語り口で次々にディランの特徴を言い当てていきます。やはり侮れません。後
ろの方のページに出ているのでお見逃しなく。