放送大学の講義をまとめたものであるだけに、とても読みやすくまとまっている。現代思想というといろんなものがありすぎて、どう全体像をつかめばいいかわかりにくいが、本書ではテーマ別にまとめられていて整理に役立つ。
導入部分で現代思想全体がどういう現代的問題から発しているのかを4点にまとめてあったのも、わかりやすかった。それは「ポスト・グーテンベルク」「ポスト・モダン」「ポスト・ナショナル」「ポスト・ヒューマン」である。活字文化、啓蒙、国民国家、人間と非人間の峻別といった近代の条件が崩れていったところに現代思想は挑んだのだということである。詳細は読んでいただくほかないが、現代思想=ポスト・モダン=大きな物語の終焉、くらいのイメージしかなかった評者にとっては、現代思想がどんな時代の変化を受け止めて近代の思想を乗り越えようとしたのかがよりクリアになったという印象である。
テーマごとに文献案内も充実していて、さらに深く勉強したい人にとっても便利なガイドブックとなるだろう。