「建築」といっても、「何やら都庁が変わった形で建てられてたよね」「そういえば表参道ヒルズってフロアの作りが面白い」程度にしかわからないのが普通の人の感覚だろう。
もちろんそれはそれでいいのだが、もう一歩突っ込んで考えてみたい人には、この本を薦める。
本書はタイトルにもあるように16章のトピックに分けられ、それぞれで建築に関するポイントを与えてくれている。
建築は完全に門外漢だった自分にとっては、建築の工夫に「なるほど」と思わされることが多かった。
バロックと広い階段、透明性、スーパーフラットなど、身近な建築にも見られるけど、その効果を考えてみたことのなかったものも多かった。
例えばスーパーフラットについて見てみよう。「スーパーフラット」というのは「何もかもが平準化された差異なき空間」のことである。
その発想からは立体性から表面性へ、つまり三次元の二次元化が起きていくわけだが、その例として取り上げられているのが渋谷のTSUTAYAのビルである。
あのスクリーンは三次元の二次元化を果たしているのだ。
また、平準化はヒエラルキーの解体につながるのだが、その例として正面をなくした「金沢二十一世紀美術館」が取り上げられる。
あえて本書の難点を言えば、建築物の名前はあるのに写真のないものが多数あり、紙面の制約があるので仕方がないがもっと写真が多い方が実情が分かってよかったと思う。
あと建築物の索引があるとなおいいか。
しかし、本書が良書であることには変わりはない。