内容(「BOOK」データベースより)
鉄とガラスとコンクリートの無機質なモダニズムからポスト・モダニズムへ、現代建築は豊かな〈意味〉をとりもどしたが、それによってわれわれの住の現実はどう変わったか。空間をめぐる思考と現実のギャップに眼をこらしながら、住まうことへの夢を激しく鼓舞する。
抜粋
建築における「意味」とは、例えば次のようなことだ。建物の入り口(玄関)の形態について考えてみよう。モダニズムの論理では、入り口の形態は「人が建物の中にはいれる」「はいりやすい」という機能から生まれるのであり、そこには伝統的、習慣的形態を生のまま使うことは可能な限り排除された。ポスト・モダニズムの論理ではこういうことになる。入り口(玄関)の形態は、西欧ではルネッサンス以来、ギリシア神殿のファサードを模したペディメント(切妻破風)を使うのが習慣的であった。ある国、ある地域で長い間使われてきた慣習的な形態は、その地の人々のあいだである一定の「意味」をもつ。ペディメント=建物の入り口という一対一の対応である。それは、「言語としての建築」における一つの「単語」である。そういった「単語」としての「部分の形態」をさまざまに組み合せて建築に用いる-建築をつくる-ことは、モダニズムがいうような反動的で忌避すべきことではなく、むしろすすんで肯定すべきことなのである。