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「原文に忠実でありつつも経学的解釈から離れ、歴史学、民俗学、宗教学など
の研究成果を踏まえた論語像」を描くことを目指した、と前書にあるように
論語のひとつの章にまつわる、過去の研究者の解釈を適宜紹介しつつ、
明らかな俗論珍説を明快に排してみせるその手法はある種の爽快さすら感じる。
著者は秀逸なマンガ評論も同時に手がけているせいか、平易な解説文から
浮かび上がってくる孔子やその弟子たちの姿は実に躍動的であり、かつ鮮明である。
後書で呉は言う。私の学生時代からだけでも、いくつもの思想が登場し、
持て囃されては消え去っていった。流行としての、消耗品としての思想が世に
瀰漫したその結果、思想の伝統的な縦糸さえ見失われるようになった。
論語にそれを回復する力があるわけではない。ただし、それを注釈する意欲に
可能性が宿るのだ、と。
可能ならば、この調子で論語の全ての章句を解説してもらいたかったと切に思う。
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