大祓詞を奏上したくなって祝詞本をひらいて、どのように読んだらよいか疑問に感じられたことはないでしょうか。
歴史的仮名遣いや清音・濁音をどちらで読むかなど判断に迷ったらこの本を手に取ってみましょう。
大祓はそれぞれの伝統や指導者によっても読み方が違うので、本だけを頼りにするのでは限界がありますが、いろいろと判断の根拠が示されているので、とりあえず自分なりに納得できる読み方ができるでしょう。
例えば「神漏岐」ですが「かむろぎ」・「かむろき」どちらでしょうか?慣行としては「ぎ」と濁音で読むようですが、万葉仮名で「岐」はキであってギとなる例はないとか、「大船」は「おおふね」と「おおぶね」二通りに読めますが、万葉集ではすべて「おほぶね」と読んでいるなど解説されています。
そこでどちらで読むかは読者の判断に任せられますので、慣行に従いたい方はそのように、より古い時代の雰囲気を味わいたい方はそのように読めばよいと思います。
語釈も詳しくついているので、意味の分からなくなっているところはどうしようもありませんが、基本的な理解はできると思います。
また大祓詞の変遷や大祓詞諸本の比較もされているので参考になります。
私はある本で一般に「斯(か)く流離(さすら)ひ失ひてば」となっているところが単に「斯く失ひてば」になっている本を見て、脱落しているのかと思ったのですが、九条家本、兼永本、兼右本いずれも「斯く失ひてば」になっているので謎が解けました。國學院大學図書館蔵の平野三位兼永本と兼右本の該当部分の写真版も収録されています。
残念なのは天津罪・国津罪の省略された段の解説が無いことです。