中国の驚異的な経済成長は人口増加や偶然によるものではない。他の発展途上国や旧社会主義国の経済的失敗と比べればわかるという。それは一理ある。
共産中国には1950年の時点では党の軍事的組織しかなく、領土の他に引き継いだものは農民(農奴のようなもの)と古い因習的制度の社会だけだったうえ、ソビエト式計画経済の失敗と経済破綻も抱え込んでのスタートだった。
党幹部にとっては背に腹はかえれない状況で、郷鎮企業や農民による作物の一定所有を認めた。そのことこそが今日の市場経済の起源となったのだという。それからは改革派と守旧派、自己利益を追及する汚職派の三つ巴の戦いがはじまる。1979年以後の経済政策や制度改革では、この生まれたばかりの市場経済の芽をいかに育成させるかが、著者の属する改革派の重大テーマである。著者は国務院での政策決定現場に居合わせたこともある経済学者だ。
中国の経済は成長と停滞と混乱を繰り返してきたが、著者に言わせれば、それは改革制度と守旧派による改革を妨げる政策や旧制度の併存、ソビエト式制度と古代律令制度の残存、官僚制と汚職腐敗のはびこりだという。
著者はいう。制度改革なくして(市場)経済の発展はありえなかった。そしてまた、現在の社会的歪みは、市場経済の信頼性を向上させ強化する制度(公正と権利の保護、透明化)と経済成長を維持させなければ解決できない。その上で、広範な社会保障制度の確立が必要なのだと。その通りだと思うしそういう政治を行うことは重要だと思う。(ただ、著者は引退してからは、最近の政策がわからなくなったと弟子に漏らしているらしい。)