改革・開放後に生まれた「八十後」のライフスタイルと、富の格差についてキーワードを集中して取り上げている。海外で学位を取得し、三顧の礼で帰国就職する中国人を「海亀族」と10年前は言われたが、今や海外留学する中国人が余りに増え、帰国しても就職できない「海待族」になっている人が多いという。また、余りに就職の困難さに、都市戸籍を持たないがゆえに、卒業後に都市部に残れない、都市部の女子大生は大学内で、結婚相手を募集するチラシを貼っているんだとか。ちなみに「婚活」は中国でも通用するらしい。地方・都市問題は難しい。都市戸籍の八十後がネットやエリート養成学校で育ち、シングルライフを満喫しているのに比べ、農村戸籍の住民は都市に出ても二級市民の扱いで、教育も受けられない。
日本が学べることもある。「対口支援」は北京・上海など豊かな都市自治体が、遅れた自治体へ企業の移転から車両、生活品の支給など、無償の資金援助や技術協力することをいう。チベットやウイグルの口封じ用の餌に使われることが多いが、08年の四川大地震では、先進自治体が決められた支援地区へ、収入の1%を3年間援助した。ちなみにこの対口支援は、東日本大震災で関西広域連合が各県ごとに支援する県を割り振り、効率が良かった。
「富二代」「太子党」…改革開放で一時的に流動化したように見えた中国社会はまた、親方五星旗根性で地位が固定化しながら成長は少しずつ鈍る。繰り返した歴史のように、爛熟した社会は腐り、動乱になるのか。繰り返さないためには、公正な政治、社会制度の確立、すなわち一党独裁撤回しかないのではないか、と読んでいて感じた。中国内の記者である著者はもちろんそんなことはつゆ思わず、だろうが。