山城新伍の眼は、常に差別の問題に向かっている。それは彼が「これを読まずして役者を志すなかれ!」と挙げた、近世最大の被差別民の棟梁「浅草弾左衛門」しかり、彼が名作としてとりあげる人種差別を直接取り扱った「捜索者」「招かれざる客」「ジプシーは空に消える」「木靴の樹」等々にあらわれている。
それは、彼が京都という差別意識の強く残る土地で、様々な根強い差別によって命を落としたり人生を狂わされたりした人々を身近に見てきたからである。
他にも好きな役者である鶴田浩ニ、美空ひばり、若山富三郎等々について語られるのだが、とにかく差別と正面から向き合い、それに対する反逆のエネルギーが、私には際立って見える。