どの語学に関しても言えることだが、初級から中級へとうまく橋渡ししてくれるような良書が少ない。まず本書から始めてロシア語を習得しようとするのは無謀だが、初級本を何冊か終えたら次に取り掛かるにはこれしかない。
著者はステキに頑固な人である(と思う)。「まえがき」にはこう記されている。「ロシア語の学習書も教室での授業もこのむずかしさがないかのように振舞ってはならないし、それを一足飛びに飛び越える魔法のような手段があるかのような幻想を学び手に抱かせてはならない」。
すぐ身に付くかのような書名が溢れているなかで、読者に媚びないこのような姿勢にまず好感が持てる。基本事項、説明、類例、単語、注意、参考、練習問題などから成る丁寧な構成も使いやすい。第1ページから通読するのもいいが、難解な事項をその都度参照するためにも説明に過不足がない。比較的大著であるが、この程度のものに取り組めなければロシア語は諦めたほうがいいだろう。