適時例を交えながら金融システム全体のメカニズムについて真摯にコツコツと積み上げるように書いてある。金融という仕組みが人間社会においていかに重要なものであるかを改めて実感した。普段は欲得まみれの角度から金融の世界を見ることが多いので(笑)、ちょっと新鮮だった。著者は金融論専攻の大学教授。以下のような7章構成になっている。
・金融取引:社会における金融取引の意義と種類をその必要性から論理的に解きほぐす。
・銀行システム:決済の仕組みから信用創造及びマネーストックについて巨視的な角度から解説。
・金融政策と中央銀行:金融政策の必要性という観点から中央銀行の役割とその手段をロジカルに説明。
・資産価格とそのバブル:資産価格の決定メカニズムから考察されるバブルの仕組みやデフレ時のゼロ金利政策の限界。
・日本の企業統治:株主の立場や投資家保護、メインバンク制度の機能、従業員と経営といったテーマの要点を企業統治の面から浮かび上がらせる
・金融機能の分解と高度化:デリバティブや金融機関の役割の変化について
・金融規制監督:金融という制度に規律や規制が必要な理由とその種類
「金融入門」となっているが、易しい本ではない。しかし、徹底して論理的に書かれてあるので、納得感がある。特に前半は白眉といってよい。コンプライアンス、ガバナンス、リスクと健全な市場経済及び金融取引の関係についても襟を正して学ぶ点があった。読みごたえがあった。