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67 人中、66人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
固定化する貧困が社会を分断する危険,
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レビュー対象商品: 現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書) (新書)
テレビやベストセラー「下流社会」の影響で、誰もが下流=貧困に陥るかのような言説が広まったが、著者はそうではなく、貧困は特定の「不利な人々」に固定化されやすいと主張する。その「不利な人々」は低学歴、非正規雇用、家族なし。3つの状況が重なり合って、貧困へと押し出されるという。著者は貧困対策として現状行われている、自立相談や職探しよりも、生活保障を受けた上で基礎学力の「学び直し」する方が抜本的な解決であると指摘した。最後の一節で、著者は貧困解決について重要な理念を示している。貧困対策は貧困者の人権のためなので、貧困者だけが得するというが、それだけに行うものではない。貧困層と富裕層が分断すれば、犯罪も増え、社会は不安定になる。だから、貧困対策は社会全体のためにもなるのだ。 ほかにも、労働宿舎(タコ部屋)からあぶれホームレスに流れる傾向、貧困から病気、虐待、自殺などが生まれやすい状況をデータやインタビューから解明するなど、本書を読んで知るところは多かった。最近出ている「格差本」と一線を画し、極めて真面目に貧困を追い、きちんと分析が行われていて、好感を持った。
45 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
流行の「格差論」とは一線を画して。,
レビュー対象商品: 現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書) (新書)
タイトルに「貧困」とあえて書く理由(流行の「格差」と書けば売れ行きも違うだろうに)。本書は、「貧困」について書かれています。貧困は社会が対処してゆかねばならない問題であるとして、その現状を明らかにしようとしています。 格差論の中では、所得の開きが大きくなることを「それが実力主義の中では当然である」として、まとめて扱ってしまう議論が多々見られます。しかしそういう見方では、「社会の中で生活保護などで生活を保障していかねばならない層」の姿が見えなくなってしまいます。まさにその点こそ、筆者がスポットライトを当てる対象です。 このように、本書は他の類書とは明らかに違っています。格差論などに興味を持っている皆さんにはぜひ一読をお勧めいたします。
22 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
結果の不平等と機会の不平等と,
By かつ麻呂 (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書) (新書)
はっきり言って新しい発見はなかった。書かれている内容自体は他の格差論のなかで再三指摘されていることが中心である。ただ、本書が他の類書と一線を画するのは「貧困」という視点で書かれていることである。「豊かな社会」になったとはいえ、その豊かさから取り残されている人間は以前から存在していて、社会の変化とともにそれが再び顕在化しているのが現代の「格差」の核心である。だから筆者は「豊かさの病理」という一面的な視点で語られる格差論のあり方を批判するのである。私も以前から「ホワイトカラーの転落ストーリー」という形で語られるホームレスの特集記事などには違和感をもっていた。それらの中にはどう考えても「自己責任」としか言いようのないものも含まれていたからである。だが本書によると、実際には基本的な生活条件が不利な状況にある人たちのほうが転落してしまうケースのほうが多いという。そのことを隠蔽して、ものめずらしさで格差を喧伝するのはたしかに健全ではない。 機会の平等は結果の平等を保障しないが、機会の不平等はおおかた結果の不平等に直結する。格差を考えるためにはそのような捉え方が必要であることを本書を読んで感じた。
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