理工系初年級向けとはありますが、2年生以上の内容です。数学科向けの題材もありますが、メインは物理数学におかれています。これから理工科でお目にかかる数学が網羅されています。なかには通り一遍な部分もありますが、エッセンスや面倒くさいこと(いわゆる計算練習)、心に留めておくと理解にとても役に立つことがちりばめられています。昔の学生はガンマ関数を使っての積分計算や、2回微分の極値問題の練習をたくさんやったんだろうなー。。 極座標への変換から特殊関数が出てきて、それらをフーリエ級数を含め直交関数系として統一的に扱う、それが微分方程式の固有値問題で本質的には無限次元の線形代数でヒルベルト空間というものだよと、そういった一本道が示されているところなど枝葉がそぎ落とされていて圧巻です。そして関数空間で位相を扱うのにルベーグ積分による基礎付けが必要だと。。(ここら辺は量子力学をやれば必ず通る道ですが) 学ぶべき数学の「こころ」と位置づけが見事に示されます。 解析接続の説明や多変数の積分変数変換の証明はわかりやすく簡単すぎて何が難しいのかわからなくなってしまうかもしれません。 当然ながら、本書だけですべてを学ぶのは不可能です、ずいぶん飛躍している部分もありますし、端折られている部分も多くあります。コンパクト性の概念などは丁寧に説明されていますが、位相をちゃんと学べば薬になりますが、本書だけでは毒になりかねません。。 いろいろ書きたいことはありますが、先ずは本書を手にとって見てください。 宝石箱をあさるような楽しさに満ち溢れています。 数度、理工系数学を勉強したがどうもしっくり来なかった人にこそお勧めです。