満州は過去のものではない。本書は戦前・戦中篇と戦後60年篇の二巻本の後篇である。
戦後60年は皆殺し兵器である原爆投下から始まる。ここで日本の軍事帝国への道は完全に消滅した。その後は経済帝国への道をまっしぐらに突き進んできた。
戦後の経済帝国のモデルは満州にあったというのが著者の認識である。その底にあるのは島の住人に特有の恐怖伝説である。この恐怖伝説が島の住人の意識を牽引しているのである。
崩壊した満州の虚像をこの列島に適用することは愚かなことなのだが。しかし、かつては虚像であったものを実像として追求しているのが戦後60年ではなかったか。
待っているのはまたもや大崩壊。希望はないのだろうか。
そんなことはない。著者はしっかりと希望を用意してくれている。芸能についての造詣を随所に取り入れた本書は読み物としても楽しめる。
前篇の戦前・戦中篇と合わせて読まれることをおすすめしたい。