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王道楽土の戦争 戦前・戦中篇 (NHKブックス)
 
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王道楽土の戦争 戦前・戦中篇 (NHKブックス) [単行本]

吉田 司
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

圧倒的な敵に取り囲まれて「逃げ場なく全滅、玉砕する」という恐怖伝説が、島国日本列島の精神的DNAを形成している。その反動としての暴力性や侵略性が、近代日本ではアジアに向かっていった。我らの父祖のワンダーランド「満州国」、そして八紘一宇の「大東亜共栄圏」。その隠された不安と夢と欲望を支えた、アマテラス帝国神話の虚妄、“神道原理主義”がもたらした災厄の巨大さを辿る。さらに、「偽満州」建国→アジア侵略→日米戦争に突き進んだ「奥羽越列藩同盟」の末裔たち、東北から輩出した政治家・軍人たちの怨念の系譜と情念を辿り、石原莞爾“法華原理主義”の内実を暴く。

内容(「MARC」データベースより)

我らの父祖のワンダーランド「満州国」、八紘一宇の「大東亜共栄圏」。その隠された不安と夢と欲望を支えたアマテラス帝国神話の虚妄と、「神道原理主義」がもたらした災厄の巨大さを辿る、吉田ノンフィクションの挑戦。

登録情報

  • 単行本: 285ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2005/11)
  • ISBN-10: 4140910453
  • ISBN-13: 978-4140910450
  • 発売日: 2005/11
  • 商品の寸法: 18 x 12.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 著者の吉田司氏は冒頭で、この本が書かれるにいたった某編集者との偶然でいい加減な経緯から入り、ナゾ掛け的な三枚の写真・絵(人体骨格・沖縄戦の洞窟・蒙古来襲)の話を始める。あえて挑発的なしゃべり口調で、しかも手法として、ネット/ブログ時代への反抗として、コンピューターには収録されないデータベースのコラージュによって「仮説の冒険」を展開する。

 これまでの多くの自著を含む膨大な書物からの引用のパッチワークから紡ぎ出されるのは、「戦後日本」の「戦前的根底」だ。安倍晋三や石原慎太郎といった政治家や、トヨタ・日産などの自動車企業といった馴染みの名前が、一貫して、前近代的背景あるいは満州に象徴される戦時下の植民地主義的近代化実験の中に、論理的かつ実体的な基盤を持っていることが暴露されていく。

 ある意味大胆なその大風呂敷と語り口は、この著書の魅力であると同時に、しかし固い論証を好む読者には嫌悪され、途中で読むのを放棄されるかもしれない。だが、読み進めるうちに、著者の偽悪的とも映るその手法が、実はまったく反パソコン的でもなければ、反論証的でもなく、逆に、パソコンを使って調べものをし書く人であれば、普通に使っている手法だということに気がつく。あるキー概念を思考の繋ぎとして複数のテクストを照らし合わせ、その積み重ねが、一つの仮説的な絵を描く。その絵が妥当性を持つかどうかは、また別のテクストとの対照によって確認される。

 これは、実は仮説と検証という通常の論証作業とかけ離れたものではないし、また、膨大なテクストがデジタル・データベースとなりつつある現在、キー概念を検索ワードとしたパソコン時代の論証作業は、著者の手法と大差なくなりつつある。

 もちろんパソコンは万能ではないし、そこから取りこぼされるものも多い。おそらくそのことに自覚的な著者だからこそ、諧謔的な野蛮さを装ったのだろう。
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形式:単行本
この本は満州についての懐旧本ではないし、いわゆる告発本でもない。本書の冒頭で著者が選択した三枚のイメージ写真はいずれも満州とは直接関係のないものばかりである。

まずは並列するイメージを読者に見せ、そして展開する方法によって日本列島に生活する人びとの生き方そして考え方を掘り下げてゆく。鍵になる言葉は恐怖伝説。

恐怖伝説がアジアに向かっていったときに何が起きるか。恐怖伝説の展開事例は満州である。伝説の体現者としての農民兵士を追ってゆく旅が興味深い。

ハイライトは石原莞爾の「世界最終戦争論」の世界認識の幼さの指摘である。この部分だけでも一読に値する。

満州は単に過去のものではないとする論考は戦前・戦中篇と戦後60年篇の二冊からなる。本書は前篇である。合わせて読まれることをおすすめしたい。
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