あいかわらず、作品の内容については素晴らしいの一言だ。
(第一部一巻に書いた拙文をご覧頂ければ幸いである)
だが、巻末の解説において、本第二部の内容のみならず、第三部の
内容までまたがる、深刻なあらすじの暴露(いわゆるネタバレ)がある。
あまりの酷さに、読んでいて仰け反ってしまった。
察するに、解説者は現在公開されている物語全体を俯瞰した解説を行いたかったのだろう。
しかし、大部の物語を読者が読み進める最大の動機は、その展開の妙を
楽しむ事にある。作者によって用意された秘密が読者に解き明かされていく、
この作者と読者との対話の過程こそが物語文学の愉悦であって、
その楽しみを読者から奪う権利は誰にもない筈だ。
これに配慮するのは、解説を書く者として最低限の心得で、その当たり前の配慮が
できないのであれば、解説などない方が余程マシだ。読者は解説をして貰いたくて
本を買うのではないのだから。
英語では、こういうネタバレを文字通りspoiler(台無し屋)と呼ぶが、それが
本を買うともれなく付いてくると言うのは前代未聞なのではないか。
解説のために、この物語の素晴らしさが損なわれるのは非常に残念だ。
読者のみなさんは、買ってすぐ、巻末の解説をステイプラーで封印するなり、
破って捨てるなりして、spoilerから身を守って貰いたい。