誰もが一度は読んだことがあるおとぎ話や童話の寓意を逆手にとって、その話の別の見方を提示するとともに、現代社会のある側面と巧みに結びつけ、ちくりと諷刺してゆく現代社会論集。
集英社の「青春と読書」に、2004年11月号から2006年12月号まで掲載した文章に加筆、訂正したものが収められています。
表題作のおしまいに(仮)の文字がついた第1話から以降、「桃太郎」「仮面ライダー」「赤ずきんちゃん」「ミダス王」「瓜子姫」「コウモリ」「美女と野獣」「蜘蛛の糸」「みにくいあひるのこ」「ふるやのもり」「幸福の王子」「ねこのすず」「ドン・キホーテ」「泣いた赤鬼」の十五篇。
自らを正義と思い込み、報道することによって悪を懲らしめるのだ!という過ちを犯しがちなジャーナリズムの危険と、この民話の寓意とはよく似てはいないだろうかとの考察が痛快だった第●話。「当事者にしてみれば自衛だけど、視点を変えれば侵略なのだ」とする戦争への見方と、「どちらの要素もある」とする寓話のテーマとをうまく関連づけた第■話。「それ」一辺倒になってしまうと、「これ」や「あれ」への危険が目に入らなくなる、そうした一極集中のリスク・パラノイア現象への危うさへの指摘にはっ とさせられた第▲話。
この三篇(題名は、ないしょ)がなかでも面白く、現代社会の本当の危険といったものについて考えさせられました。