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職人が主人公の漫画の一つの典型は、主人公が凄い技術と知識を持っていて、それをここぞという時に見せ付けてくれて、読者はおおっと感動するというものだと思います。(もちろん他の典型もあるでしょうが。)で、この漫画はこの典型を気持ちよく堪能できるお話なのです。
絵は、必ずしも非常にキレイだとは言えませんが、不快になるほど汚いものでは決してない。
また、小さな笑いも所々に入っていて、話がダラダラしないような形で役立っている。
ということで、職人ものの王道(だって王様の仕立人ですから)を披露されつつ、テンポの良いストーリー展開を見せてられているうちに、どんどん話に引き込まれていくこと請け合いの漫画です。
仕立て屋、しかもスーツの仕立て屋という、我ら日本人庶民には
今ひとつ縁がない世界を、「自分の身体に一番近い存在」として
魅力的に描き出している。
最近、女性服では「変わった仕立て」の服が流行っているけれど、
男性服にはなかなかそういう遊びがない。
そんな中、知識の上では、一見そんな遊びと無縁に見える紳士スーツにも
「遊び」や「仕立て」の広い世界があると知ってはいたけれど、
その楽しみをこの作品はグッと身近に感じさせてくれる。
またこの漫画の世界の「仕立て」のもう一つの要素が、
随所に現れる「イタリア人気質」とでも呼ぶべき「小粋さ」だ。
それは仕立て職人のモノであったり、マフィアのモノであったり、
スーツを着こなす各職業のモノであったりするが、
スーツの話だけであれば硬くなり過ぎるところを、
巧く自然に流していく潤滑油になっている。
ある意味、ロンドンの仕立て屋とイギリス趣味を扱っていたら、
こう人を引き込むテンポは得られなかったかもしれない。
スーツを着る全ての人に、あるいは女性でも「被服」に
興味のある全ての人に勧める、とりあえず読んでおいて損のない一冊。
両親の離婚のより離れ離れになる父親に「スーツをプレゼントしたい」と言う中学生の少女。... 続きを読む
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