内モンゴル出身の楊海英氏が中心になり、宮脇淳子氏らを交えて作成された本書は、1911年の「辛亥革命」後の100年を改めて問い直そうという試みである。
こういったスタイルの書物を手に取る人は、中国研究の周辺にいる人々であろうから、筆者の名前を見ただけで内容をほぼ推し量ることができるであろう。「五・四運動」が、コミンテルンの策動とアメリカの労働組合からの援助でなされた政治行動であり、「内発的民族運動」にほど遠いものであったこと。内藤湖南も、過去の文化遺産を廃棄するこうした運動に、中国革命への同情を失ったこと。「満州帝国」が共産党が国家システムを運営しようとしたときのモデルであったこと。「満州国」が「偽国家」とされるのは、「中華民国・台湾」を「偽国家」とすることと同じであること・・・。
ところで、馬場公彦氏は「日本の植民地政策」は、(宮脇氏から揶揄されても)「英米がどうだったからと比較して免罪されるものではない」とおなじみの台詞を吐く。これはそう言われて動揺する日本人には通じるが、国際的には全く通用しないものである。なぜなら、こういったことを言う方々は、帝国主義の総本山や社会主義の仮面を被って民族浄化を図るような国には何も言わないからだ。相手にされないからである。
「いい加減にしてもらいたい」と評者は思う。歴史家の使命は、人類史を公平な眼の高さで、起きた事柄を評価することである。せめて「バランスのとれた視点で評価したい」と言うべきであろう。