本作では、確かに最後ジークフリートはオデットとくっつきます。
(はっきりした描写はありませんが、少なくとも婚約までは進んだ筈です。)
但し!原作みたいに過ちを悔いてオデットのために命を賭けるシーンもなければ、
悪魔ロットバルトも倒してません。つーか悪魔全然この話に出てきません。
代わりに通常なら最後存在が忘れられるオディールが、ジークフリートの弟(愛称ハル)に救われています。
そう!この物語はオディールとハルの恋物語だったのです。いや、マジで。
閑話休題。
今回の「『白鳥の湖』の王子様」ことジークフリート。
歴代の王子様の中で誰よりもアンチヒーローです。
源氏よりもタラシで、いばらよりもヘタレ(というか病弱)。
カエル以上に自分がよくモテることを自覚しており、
シンデレラ以上に弟に依存してる癖に、
アラジン、というよりむしろ、他のどの王子様と比べても他人(特に女性)を思いやる気持ちがダントツに低いです。
なおかつ、人魚よりも身勝手な理由、つまり
「自分は人を信じられないが、自分を愛してくれる相手は何があっても自分を愛す人でなきゃ嫌だ」
という理由で、オデットとオディールに無茶な事を次々にやらせようとします。
(竹取とジークフリートが上記の会話をしてるとき、「マザコン」という単語が頭に思い浮かびました。)
今回の遊佐さんの演技を演じたことのある他キャラに例えるなら、
「健康・能力・自信等ポジティブな部分を殆ど失い、
その分自己愛と相手への高望みがコルネリウス・アルバ並みに肥大化したヘタレた兵部卿介」
といった感じでしょうか。
いわゆる男らしいキャラが好きな人からしたら、イラッとくるキャラを実に弱々しくぬけぬけと演じてます。
しかし、そのおかげで竹本さん演じるハルが、美形声ではないけど普通にカッコいいことこの上ない(笑)。
むしろハルを引き立てるために今回ジークフリート登場してきたんじゃないのか、というくらい両者の対比が際立っており、
キャラの個性を出す事には成功してます。
ただ、タイトルにもあるとおり、キャラ立ちにこだわる余り、今回は終盤でのカタルシスが弱くなってしまった気がします。
詳しくは書きませんが、やはり「男にとってやたらと都合のよすぎるオデット」と、
彼女に関する「ホントにそれでいいの?」と突っ込みたくなるような結末が一番の原因でしょう。
「キャラが状況を口頭で説明しないと分からないことばかりだった」というのも、ストーリーに入り込めなかった一因ではありますが。
まあ、まだ「ロットバルト退治」のフラグ(笑)が残っていますので、ファンの希望が多ければ、
やはりオデットに不埒な真似を働くのでみんなで悪魔退治RPG・・・なんて番外編が出てくるのかもしれません。
でも、「自分の愛を信じ、お姫様を助ける王子様の筈なのに、『愛』を疑いお姫様を試すべく無茶ぶりばかりさせるってどうよ?」
と本シリーズの主旨的に引っかかるモノを感じたのと
聞き終わった後の爽快感の低さ(本編に加えて小野坂さんのコメントがちょっと・・・)という点から、
今回は星2つ減点させていただきます。
ただ、遊佐さんのヘタレホスト演技や、ちょっとカッコ良いいばら、「愛」について各キャラが持論を語るシーン等、
聞き所もちゃんとある事を重ねて強調しつつ、今回のレビューを終了したいと思います。