どこか浮世ばなれした雫石、超能力をもつ楓。そのパトロンで恋人の片岡さん。雫石の恋人の真一郎くん、アパートの「ものすごくいやな感じ」の隣人。彼らが繰り広げる物語は、『キッチン』から『アムリタ』までの初期の作品を彷彿とさせるファンタジックなストーリーである。しかし一片の無駄もない文章とストーリーで組みあげられた本書は、円熟期にある作家の手で極限まで磨きあげられた珠玉の作といえる。そして同時に、「また新しい章が始まる」という印象的な言葉で締めくくられているように、吉本文学の新たな作品世界の萌芽を予感させるものでもある。
「守られている女の子の生き方の物語」である本書には、著者の計り知れない他者への愛情の深さがにじみ出ている。行方不明のインコを探してほしいという少年に、嘘をついてしまう楓。不倫関係にある真一郎くんとの恋をひそっりと続けていく雫石。たくさんの無垢な魂が、それでもしっかりと人生を歩んでいく姿が胸を打つ。物語に静かに流れる、決して声高に叫ばれることのないメッセージが、読むものの心をじんわりと癒してくれる。(中島正敏)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
そうだけど。。。,
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レビュー対象商品: 王国―その1 アンドロメダ・ハイツ― (単行本)
いつもの作品とさして変わらず、目に見えないもの、必要以上に欲のない純粋な感性を持つ人たちの絆みたいなものが描かれている。おばあちゃんの生き方に関するポリシーはとても明快かつおちゃめで好感がもてた。惨たらしい事件が続くこの世の中に、著者が大きな危惧感を感じていることは読み取れたが、作中にでてくるような人との濃い繋がりをもてない現代の多くの人たちにとっては、所詮理想の世界だよねと片付けられてしまいそうな気もした。ストーリーは美しいが、もう少しリアルな設定で、もっともっとつっこんでかいてほしい。。と意地悪く思ってしまった
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
大好きだ。,
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レビュー対象商品: 王国―その1 アンドロメダ・ハイツ― (単行本)
最初、図書館で借りて、とりつかれたように読みふけり、その後書店に買いに行きました。
きっと何度も読み返すだろうという予感があったのと、どうしても手元に置きたくなったからです。 よしもとばなな作品の中でも、このシリーズはかなり特別に好きなものになりそうです。 生きることに疲れたとき、毎日がただ、とつとつと過ぎていってしまうように思えたときに、これを読むと、心の目が覚めるような感じがします。 これはいいです!
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
静謐な言葉の海へ,
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レビュー対象商品: 王国―その1 アンドロメダ・ハイツ― (単行本)
この人の作品は、どれも海のようだ。一見おだやかで、おおきくて、しずかな物語。 でも、読み進めていくと、いきなり嵐になり、 高波がきて、私は跳ね飛ばされてしまう。 今回のこの「王国」も、そんな感じをうけた。 ドラマティックな展開じゃない、ただ淡々と 進むストーリーの中、ドキリとする言葉がある。 読んでいる間、私もその海を泳いでいるようになる。 話の内容はさほど濃くないし、長くない。 静かで、でもおだやかなだけじゃないこの物語、
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