どこか浮世ばなれした雫石、超能力をもつ楓。そのパトロンで恋人の片岡さん。雫石の恋人の真一郎くん、アパートの「ものすごくいやな感じ」の隣人。彼らが繰り広げる物語は、『キッチン』から『アムリタ』までの初期の作品を彷彿とさせるファンタジックなストーリーである。しかし一片の無駄もない文章とストーリーで組みあげられた本書は、円熟期にある作家の手で極限まで磨きあげられた珠玉の作といえる。そして同時に、「また新しい章が始まる」という印象的な言葉で締めくくられているように、吉本文学の新たな作品世界の萌芽を予感させるものでもある。
「守られている女の子の生き方の物語」である本書には、著者の計り知れない他者への愛情の深さがにじみ出ている。行方不明のインコを探してほしいという少年に、嘘をついてしまう楓。不倫関係にある真一郎くんとの恋をひそっりと続けていく雫石。たくさんの無垢な魂が、それでもしっかりと人生を歩んでいく姿が胸を打つ。物語に静かに流れる、決して声高に叫ばれることのないメッセージが、読むものの心をじんわりと癒してくれる。(中島正敏)
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読んでいる間、私もその海を泳いでいるようになる。
話の内容はさほど濃くないし、長くない。
ただ、登場人物それぞれの、もののとらえかた、事態のうけとめかた、
そういうものを読んだ気がした。
静かで、でもおだやかなだけじゃないこの物語、
秋の夜長に堪能してはいかがだろうか。
純文学である。=退屈。
サボテン公園に行く。... 続きを読む
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