雑誌で作者の作品を一度読んだことがあり、今回たまたま単行本を書店で手にした。想像以上によかった。いわゆるエロ本としての実用性を期待する人には向かない(そういう人は成人向けコミックを買えばいい)。どちらかというと、もう少しストーリーや登場人物の表情といったデティールにこだわる人向けの、エッチな本だと思う。
9つの作品のうち、気になったものを挙げたい。まず、巻頭作の「ハルとソラと」。健康的なスポーツ少女を描いたもので、絵としてのエロス、そしてシチュエーションに魅了される。次に「告白」。いわゆる人妻ものなのだが、全体的に陰鬱な内容である。年下男子と旦那のあいだで揺れ動くヒロインは、あくまで旦那の心を求めているのだと感じた。そして、白眉ともいえる作品が「鈴女」である。再会した幼馴染の淡い恋を描いている。この描写のなんと繊細なこと。この作品のマットな絵が醸し出すエロスにやられてしまった。