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玉蘭 (文春文庫)
 
 

玉蘭 (文春文庫) (文庫)

桐野 夏生 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。だが、心の空洞は埋まらない。そんな彼女のもとに、大伯父の幽霊が現れ、有子は、70年前、彼が上海で書き残した日記をひもとく。玉蘭の香りが現在と過去を結び、有子の何かが壊れ、何かが生れてくる…。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

桐野 夏生
昭和26(1951)年、金沢生れ。成蹊大学法学部卒。会社員を経て、平成5年、女探偵村野ミロが主人公の「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。平成11年、「柔らかな頬」で直木賞、平成15年、「グロテスク」で泉鏡花文学賞、平成16年、「残虐記」で柴田錬三郎賞受賞。平成10年に日本推理作家協会賞を受賞した「OUT」で、平成16年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 人の近さと螺旋をつくる営み, 2005/6/26
By ベンジャミン (神奈川県川崎市) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
上海の湿気と埃混じりの匂いが漂う描写に思わずひき込まれました。恋人と別れ上海に留学した主人公広野有子と、かつて上海で生きた有子の大伯父広野質(ただし)と、有子の恋人松村行生が、異性との近さをどう捉えようとしているのか、描き込んでいます。何度か使われている、どちらが相手としてより良い条件なのかと、相手との距離を「不等号」でしか捉えられないと思われる関係なのか、それらに囚われずに、相手との距離を少しでも縮めることに価値をおいた関係なのか、三者の生き方を、螺旋状にからませながら、書き尽くしています。そして、広野質が有子に伝えた、「新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地に今いるっていうことなんだ」という言葉は、螺旋を新たに創らんとするメッセージであろうと思います。私は、この書は、ぎりぎりまで、悩み尽くし、落ちる所まで落ち込んだ時に、蘇生するために、まことに有用な書だと読みました。
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19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 スケールが大きく、幻想的なのに描写がリアル, 2005/7/18
東京で仕事も恋も上手くいかずに上海へ留学する有子、有子の元恋人の松村、有子の大伯父の質、その内縁の妻の浪子、と4人の視点で物語がすすんでゆく。現代に生きる有子の物語と、70年前の広東と上海を舞台にした質と浪子の物語が時を越えて交錯するという、複雑な構成を取っている。スケールの大きい大河ロマンである上、人物の設定や描写がリアルで、読み始めたら止まらなくなった。
現代に生きる有子は自己との「神経戦」で敗れ、「壊れていく」が、その壊れ方が非常に痛々しい。それとは対照的に、日中戦争を目前にした内戦の中、結核と戦う浪子の生と死が描かれる。浪子に頼まれ安楽死をその手で実行した質は、その後も苦しみ続け、現代に生きる呼吸器科の医師である松村と不思議な邂逅をし、対話する。そして、上海へ有子を追ってきた松村の前へ現れた有子は、現実だったのか夢だったのか、読者の想像次第で色んな解釈が出来るように作られている。
最後は、質の予想外の後半生が描かれる。最後まで展開が読めず、意表をつかれたり、期待を裏切られたりしながら、物語に引き込まれていく。玉蘭のモチーフが幻想的に用いられ、異国情緒にあふれる。男女の心理描写は1級品。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 最果てへ, 2005/7/16
By くま (岡山) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
有子は突然現れた叔父の幽霊に聞く。「あなたも共同体からつまはじきされたことがあるの?」「ある。個人として生き抜こうとすると、ぶつかるものは必ずある。」「話して」簡単な話じゃないよ。どこに行っても自分の世界を引きずって最果ての世界に到着する。新しい世界など存在しない、というのはそういう意味だ」「それはよく分からないけど、わたしは孤独だわ」

『柔らかな頬』と同じように、この作品では現実とも夢とも分からない描写に満ちている。そして主人公はここでも最果てに心を持っていくのである。世界の中心に自分がいたという思い出だけを連れて。

胸が潰れる。だけども、小説とはそういうものだ。謎は提示されるが、謎は必ずしも解決されうるものではないのだろう。

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投稿日: 2007/8/14 投稿者: 生茶

5つ星のうち 3.0 個人的には今まで読んだ桐野氏の作品の中でベスト
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投稿日: 2007/1/10 投稿者: clala-flala

5つ星のうち 3.0 打算に堕ちてゆく人物たち
桐野夏生氏という方は、何故、ロマンティックで夢や希望に溢れた性を描くことがないのだろうか・・。打算や堕落や衝動に塗れた性描写は、読んでいて辛くなってしまいます。... 続きを読む
投稿日: 2006/10/21 投稿者: Jabb

5つ星のうち 4.0 あなたは結末をどう受け止めます?
本書の結末は読む人を考えさせる。
有子は上海で生まれ変わったのか(再生)、それとも堕落したのか。... 続きを読む
投稿日: 2006/1/29 投稿者: いせむし

5つ星のうち 4.0 やはり読み応え大
やはり、いつもながらに読み応えがありました。複雑な、人の心の機微の描写において、桐野さん以上の作家さんを私は知りません。
投稿日: 2005/9/3 投稿者: インナーリゾート

5つ星のうち 5.0 実話の交じった秀逸の描写力。大戦前の上海を舞台にしたせつなくも逞しい愛の物語
舞台は中国、広大な土地に咲いた華やかな上海に集まってきた日本人留学生達の閉塞的な関係に辟易する一方、自分の内面の矛盾に自暴自棄になっていく主人公の有子。
... 続きを読む
投稿日: 2005/8/15 投稿者: sanjunio

5つ星のうち 2.0 大人でないとわからない
現実の厳しさと幻想とがうまくミックスされています。心理的・肉体的な描写がリアルで大人でないと理解不能でしょう。
投稿日: 2005/6/24

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