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玉蘭 (文春文庫)
 
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玉蘭 (文春文庫) [文庫]

桐野 夏生
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (30件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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張りつめた東京での生活に疲れ果てた有子は、逃げるように上海へとやって来た。枯れた“玉蘭”によって眠りを遮られ、別れた恋人への愛憎の深さに慄いた夜、彼女の前に大伯父の幽霊が現れる。70年前、この地で船乗りとして生きていた大伯父もまた、1人の女性への断ち切れない想いを抱いていた。人々の活気みなぎる土地上海を舞台に、2組の男女が織り成す恋愛模様。深い恋慕の情は時を越え、現代と過去が交差する。

   人を愛するとは、どういうことか。魅力的な登場人物と過激な犯罪描写、読者を惹き込む圧倒的な筆力で、ミステリーの分野において『OUT』(第51回日本推理作家協会賞受賞)や『柔らかな頬』(第121回直木賞受賞)など、数々のヒットを放ってきた桐野夏生。彼女が開いた新たな境地は、大人のための極上の恋愛小説であった。

   本書には、2人の女性が描かれている。一方は、複雑な感情を整理するために、「何もかも言葉に」しようとする現代女性、有子。もう一方は、話し合いではなく肉体の交わりによって「すべてを曖昧に」しようとする70年前の大伯父の妻、浪子。いずれの恋愛も完全燃焼せず、しこりを残したまま終わりを迎える。言葉だけでもなく、肉体だけでもない。いったい、恋愛の本質とは何なのか?繊細な女性心理と赤裸々な性交の描写が、痛く、熱く読む者に迫る。まさに、激しい恋愛の只中にいるときのように。(冷水修子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。だが、心の空洞は埋まらない。そんな彼女のもとに、大伯父の幽霊が現れ、有子は、70年前、彼が上海で書き残した日記をひもとく。玉蘭の香りが現在と過去を結び、有子の何かが壊れ、何かが生れてくる…。

登録情報

  • 文庫: 388ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2005/6/10)
  • ISBN-10: 4167602083
  • ISBN-13: 978-4167602086
  • 発売日: 2005/6/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 11 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (30件のカスタマーレビュー)
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18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
東京で仕事も恋も上手くいかずに上海へ留学する有子、有子の元恋人の松村、有子の大伯父の質、その内縁の妻の浪子、と4人の視点で物語がすすんでゆく。現代に生きる有子の物語と、70年前の広東と上海を舞台にした質と浪子の物語が時を越えて交錯するという、複雑な構成を取っている。スケールの大きい大河ロマンである上、人物の設定や描写がリアルで、読み始めたら止まらなくなった。
現代に生きる有子は自己との「神経戦」で敗れ、「壊れていく」が、その壊れ方が非常に痛々しい。それとは対照的に、日中戦争を目前にした内戦の中、結核と戦う浪子の生と死が描かれる。浪子に頼まれ安楽死をその手で実行した質は、その後も苦しみ続け、現代に生きる呼吸器科の医師である松村と不思議な邂逅をし、対話する。そして、上海へ有子を追ってきた松村の前へ現れた有子は、現実だったのか夢だったのか、読者の想像次第で色んな解釈が出来るように作られている。
最後は、質の予想外の後半生が描かれる。最後まで展開が読めず、意表をつかれたり、期待を裏切られたりしながら、物語に引き込まれていく。玉蘭のモチーフが幻想的に用いられ、異国情緒にあふれる。男女の心理描写は1級品。
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形式:文庫
上海の湿気と埃混じりの匂いが漂う描写に思わずひき込まれました。恋人と別れ上海に留学した主人公広野有子と、かつて上海で生きた有子の大伯父広野質(ただし)と、有子の恋人松村行生が、異性との近さをどう捉えようとしているのか、描き込んでいます。何度か使われている、どちらが相手としてより良い条件なのかと、相手との距離を「不等号」でしか捉えられないと思われる関係なのか、それらに囚われずに、相手との距離を少しでも縮めることに価値をおいた関係なのか、三者の生き方を、螺旋状にからませながら、書き尽くしています。そして、広野質が有子に伝えた、「新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地に今いるっていうことなんだ」という言葉は、螺旋を新たに創らんとするメッセージであろうと思います。私は、この書は、ぎりぎりまで、悩み尽くし、落ちる所まで落ち込んだ時に、蘇生するために、まことに有用な書だと読みました。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
最果てへ 2005/7/16
By くま
形式:文庫
有子は突然現れた叔父の幽霊に聞く。「あなたも共同体からつまはじきされたことがあるの?」「ある。個人として生き抜こうとすると、ぶつかるものは必ずある。」「話して」簡単な話じゃないよ。どこに行っても自分の世界を引きずって最果ての世界に到着する。新しい世界など存在しない、というのはそういう意味だ」「それはよく分からないけど、わたしは孤独だわ」

『柔らかな頬』と同じように、この作品では現実とも夢とも分からない描写に満ちている。そして主人公はここでも最果てに心を持っていくのである。世界の中心に自分がいたという思い出だけを連れて。

胸が潰れる。だけども、小説とはそういうものだ。謎は提示されるが、謎は必ずしも解決されうるものではないのだろう。

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投稿日: 2006/10/14 投稿者: sakusaku
あなたは結末をどう受け止めます?
本書の結末は読む人を考えさせる。

有子は上海で生まれ変わったのか(再生)、それとも堕落したのか。... 続きを読む
投稿日: 2006/1/29 投稿者: いせむし
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