獣の妻乞いにでてきた月貴・睦月カップルの話と、新しく登場する更に開発された高位種の朋・ブリーダーの甲斐カップルの話の2本です。前作の主カップルも所々で少し出てきます。
国のプロジェクトで人と狼のキメラである猟獣が造られ、死刑がなくなり巷にあふれた犯罪者を人間に代わって死刑執行させられる猟獣。しかも、社会の陰で密かに行われる任務は野犬の仕業に見せるため獣の姿で行い、誰かに見られたりそのせいで襲われても反撃してはならないという理不尽さ。
少しでも長く月貴と共に生きたいと願う睦月のけなげさにせつなくなりました。ただでさえ、任務のせいで人型に戻りにくくなっていき、しまいには廃棄される運命にあるのに、今回は猟獣の存在に反対する者によって人型に戻れなくするウイルスがばらまかれ、睦月は廃棄寸前に追い込まれます。月貴が睦月を救出し、二人は施設のソトで二人だけで生きていく事を選ぶのですが、その時やっと本当のつがいになることができます。
前作でも、猟獣であることで悩み苦しみ、けれど最後に二人で共に生きる道を勝ち取った主カップルに涙しましたが、今回も猟獣同志のカップルゆえのそれぞれの苦悩があり、とてもせつなく書かれています。
そして、後半の話では、メインカップルは変わりますがウイルスがばらまかれた後で話は続いています。甲斐が、子供のような朋を育てるうちに冷淡な研究者ではなくなり、猟獣に対する考えも色々と変わり、人間のエゴに気づかされることになります。ばらまいた犯人も分かり、この事件がきっかけで猟獣に対する体制も色々と変わります。朋の「睦月を人間に戻すって傲慢。彼らは獣同志でも幸せ」という考えも、最後の甲斐の胸中の思いもじんわりと身に詰まされます。
あとがき後のssに、その後の月貴・睦月が載ってますよ。