本作では、「情報のひとり歩き」「マスコミの行き過ぎ」といったよくある題材の背景に潜む「集団無意識」がテーマとなっているようだ。といってもあまり心理学心理学した難解な論展開や解釈はなく、作者の個性的な軽口口調の文体と相俟って、最後まで興味深く読ませてくれる。
さて、本作最大の疑問といえる、“「獣」とは何か?”。普通に読めば、20字程度で要約できる程度にはわかる仕組みになっている。だがこの作者、物語の最終盤、わずか半ページで…(ここは云えない)。どんでん返しなんてものではないこのオチ。この作品を難解なものにしている唯一にして最大の要素がコレであろう。ひょっとしてタイトルの「夢」の意味って…。
本作の本当のテーマとして作者が意図したものは結局何なのか、考えをめぐらすのも楽しみのひとつかもしれない。国語の試験問題にでもなりそうだな、という気がしている。
PS この作者「ぶりぶり(擬音)」が好きだなあ。