あの当時「ムネオハウス」の話題でよくお顔を拝見。私はお二人とも「典型的悪役顔」として認識し、よもやその方が書いた本を読むことになるとは夢にも思わなかった。佐藤氏の読書の量と質は「趣味は読書」などとふざけている凡人とはケタがちがう。その膨大な読書から得た知識に、彼独自の発想を交えて書いておられるので、文字を目で追ってはいても内容は分からない。でも時折、全く違和感なく挿入される「タマちゃん」の話や「麦茶」の話に助けられ、とにもかくにも読み通した。諜報員とは「乱暴なようで優しい。猜疑心が強いようでお人よし。社交的だが人間嫌い。知性の水準は高いのだが野蛮」な人々なのだそうだ。この本をよむとそれがよく分かる。私がもっとも心惹かれたのは、この本に流れる静けさだ。佐藤氏は4畳の拘置所での500日で自分の知性を静かに深く磨いたのだと思う。久々に出会いを感ずる一冊。