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猫町 他十七篇 (岩波文庫)
 
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猫町 他十七篇 (岩波文庫) [文庫]

萩原 朔太郎 , 清岡 卓行
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

東京から北越の温泉に出かけた「私」は,ふとしたことから,「繁華な美しい町」に足を踏みいれる.すると,そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…….詩集『青猫』の感覚と詩情をもって書かれたこの「猫町」(一九三五)をはじめ,幻想風の短篇,散文詩,随筆十八篇を収録.前衛詩人としての朔太郎の面目が遺憾なく発揮された小品集.

内容(「BOOK」データベースより)

東京から北越の温泉に出かけた「私」は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏みいれる。すると、そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…。詩集『青猫』の感覚と詩情をもって書かれたこの「猫町」(1935)をはじめ、幼想風の短篇、散文詩、随筆18篇を収録。前衛詩人としての朔太郎(1886‐1942)の面目が遺憾なく発揮された小品集。

登録情報

  • 文庫: 163ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1995/5/16)
  • ISBN-10: 4003106237
  • ISBN-13: 978-4003106235
  • 発売日: 1995/5/16
  • 商品の寸法: 14.4 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 183,664位 (本のベストセラーを見る)
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
萩原の思想の神髄を<新しき欲情><絶望の逃走><虚妄の正義>から読み取れば読みとるほど、『猫町』という一見大したことのなさそうな話は、痛烈な重みをもった真実なのだと思う。しかし、家では娘と酒の席でおちょこを揺らし、感慨深くマンドリンをかき鳴らしたり、書斎の机の引き出しに、秘密のマジックの道具をしまい込んで、私かに練習をしている。そのこどもらしい萩原の姿も、また真実の朔太郎である。本書は、「この手に限るよ」のような朔太郎のおちゃめな部分をかいま見ることのできる貴重な短編集だと思う。普段矢鱈に不幸だの、病気だの言われている朔太郎だが、神経質で臆病な彼は実に子どもらしい伸びやかな感性を持っている。
「およぐひとのてあしはななめにのびる」という詩を思い出!す一冊である。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 香桑 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
表題作が菅野覚明『神道の逆襲』や春日武彦『不幸になりたがる人たち』に引用されているのを読んで、原典をようやく手に取った。編者の解説が3分の1ぐらいのボリュームがあり、これが初心者にとって非常によかった。

清岡は、萩原が夢見ていた美しい近代の幻想が、全体主義と軍国主義が席巻する時代において、群集によって「無残に破壊されるかもしれないという絶望に近い思い」を読み取る。

それぞれの多様な読みを読み比べることが面白かった。私などの思いが及ばぬほど、深い。

その他も、萩原が親交のあった芥川が出てきたり、ニーチェやショーペンハウアーに触れていたり、昔の東京の景色が現代的な都市のイメージをもって語られており、それぞれ興味深い。

中でも、「老年と人生」が、性欲に振り回されなくなった自由さをあげて、加齢を肯定的に書いているところがよかった。老年を楽しむために、まだまだ修行不足だと言いながらも。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
空前絶後 2003/3/21
By カスタマー
形式:文庫
「人は一人一人では、いつも永久に、永久に恐ろしい孤獨である。原始以來、神は幾億萬人といふ人間を造つた。けれども全く同じ顔の人間を、決して二人とは造りはしなかつた。人はだれでも單位で生れて、永久に單位で死ななければならない」など、詩作以外でも悩める若人の心を揺さぶる言葉をいくつも残した朔太郎であったが、家庭生活では大きな問題を抱え、「聖戦」を謳う評論「日本への回帰」を書くなど、実生活における萩原朔太郎は詩を書く萩原朔太郎とは違ったある意味貧困な世界で生を送っていたのかもしれない。彼自身が語っているように「詩は神祕でも象徴でも何でも無い。詩はただ病める魂の所有者と孤獨者との寂しい慰め」であったのであろうか。だが、たとえ彼の実生活における混迷が事実として在ったとしても、彼の実生活と詩世界とは切り離して考えるべきである。日本の近代口語自由詩、つまり現在私たちが「詩」として捉えるほとんどすべての詩の元祖でありいまだ最高峰であり続ける詩人・萩原朔太郎の評価は、その実生活によってなんら貶められることはないほどに優れたものなのだ。

私はたった数行の詩「蛙の死」の「丘の上に人が立つてゐる。帽子の下に顔がある」という箇所において「詩」が持つ力というものを初めて目の当たりにし、圧倒された。この部分には「金槐和歌集」のなかで源実朝が詠んだ「大海の 磯もとどろに よする波 われてくだけて裂けて散るかも」に匹敵する奇跡的な描写と言葉遣いの豊かさがある。前者は「丘の上=人 と 帽子の下=顔」を対照させることによって表された見事な遠近感。そして後者は「われてくだけてさけてちるかも」の部分における波のスローモーション動作の表象。言葉の持つ力、可能性をたった数行で我々に知らしめてくれる彼らの豊かな表現力は見事であるとしか言いようがない。

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