シリーズ6冊目となる本作は何度か触れられていた『あのこと』が語られる書き下ろしで,
時系列としては『
傷物語』の少し後,そして1作目となる『
化物語』の直前までとなります.
序盤から約4分の1ほどはおなじみと言いますか『売り』でもある掛け合いが中心の雑談.
ただ,その展開を自虐的に語ったり,アニメ化や出版業界をネタにしたメタ発言の多さは,
これまでにも増して『突き抜けた』印象で,これにはファンとはいえ賛否がわかれそうです.
もちろん,それらの中には物語に関わる内容もあって全く無駄とまでは言えないのですが,
ギャグやパロディも不発気味で,『作風』ではなく『マンネリ』に感じられるのが残念です.
照れ隠しなのかシリアスな場面で挿入されるのも,本作では少しばかり逆効果だったような….
とはいえ中盤以降はグッと引き込まれ,それまでとは一変のゾッとするほど重たい展開は,
完璧に映っていたヒロインの過去や深層心理,まさかの真相まで静かながらも驚かされます.
また,そんな彼女へ主人公が抱く『恋心』,そして終盤での決断とその結果は切ないながらも,
そのまま『
化物語』へと繋がるようなラスト,特に最後の1行には明るい余韻さえ与えられます.
この中盤以降がよかっただけに,それまでがもう少しスマートに進めばよかったのですが….
巻末には一気の続刊予告もありましたが,この調子が続くようだと不安の方が先に出てきます.