アメリカでキリスト教色の強い作品を執筆して活躍する人気ベテラン作家モリスの動物ミステリー・シリーズ第1弾です。猫ミステリーの分野は日本では赤川次郎氏の「三毛猫ホームズ」シリーズが有名ですが、海外ではブラウン女史の「シャム猫ココ」シリーズを筆頭に女性作家が圧倒的に優勢でしたので、男性作家の書く本書は真に珍しく新鮮に感じます。本書の主役2匹を紹介しますと、まず黒猫ジャックはアフリカ系の巨大な体の雄猫で気性も荒く名前の由来が危険な‘切り裂きジャック’から来ています。次にラグラドール種のクレオは人懐こくおっとりした性格の雌猫で名前は優雅な‘クレオパトラ’の略称です。二匹は時々人間には理解出来ない猫語で会話して飼い主を見守ってくれています。一方、人間代表のヒロイン、ケイトは29歳で夫に先立たれ12歳の息子ジェレミーを一人で育てスーパーのレジ係に勤める頑張り屋さんで、片付けられないだらしなさもある反面、信仰心に篤く動物が大好きで主役の猫二匹を飼っています。もう一人のヒーロー、ジェイクは陸軍・殺人課刑事の経歴を持つ現在は作家志望の29歳の青年で、料理を愛するグルメな美食家ですが、動物が大の苦手で過去に辛い失恋経験を持つ所為で女性に臆病な面もあります。そんな二人が遠い親戚が遺した海辺の動物屋敷に引っ越して来て、同居と動物達の世話を条件に暮らし始めるが、やがて近所で子供の殺人事件が起きて何とジェレミーが容疑者になってしまう。
本書の読み所は、動物屋敷の賑やかで可愛らしい動物達とのふれあい、都会から来た悪党どもとジェイクの息詰まる対決、どう猛な猫ジャックが見事な手並みで暴き出す意外な真相、最初は水と油の様に反発していたケイトとジェイクが徐々に許し合い惹かれて行く優しい愛の心模様です。動物嫌いのジェイクが最後には動物を愛する人間に変わった様に、貴方も本書を読んで優しい動物愛で心を癒して下さい。