思わず笑える箇所の多い軽いエッセー集。特に同じ年代だと男でも笑える。でもその笑いは一度読んだらそれっきり忘れてしまうというようなものだ。それに『1Q84』一冊とほぼ同じ金をかけられる人はそうは多くないはず。
道路にはかれた唾が500円硬貨に見えるほど貧乏であるならば、買うほうのふところぐあいも少しは察してもらいたいと思う一方で、この人は本当は意外と余裕ありそうな気もする。こんなことを書いているところからも本当に貧乏だったとしてもそれに耐えられる強さ、したたたかさがあるのではと感じられて読んでいるほうにはそれが妙な安心感につながる。
半分ほどは古本に関する話だが、そういう本によくあるようにそこにのめりこむのではなく、古本を買う自分を冷静に見つめる目がある。ただし古本に関するエッセーとしてはたいした情報はないのでこの手の文章は本にするより出来ればブログに載せてほしいものだ。
失礼を承知で言えばこういう文章を本にするとますますブログは単なる「情報」になってしまって究極のところネットも紙媒体もどちらもつまらなくなってしまっているという現状が一般にあるように思われる。
いくつになっても自分をトメ子とか呼んでおられる天真爛漫さんは素晴らしいことだが「浅生ハルミンです」とも言っているのでそれも分かりにくいかもしれない。また「このコーナー」や「今月は筆をおきます」など雑誌掲載時そのままというか本にするにあたってまるで編集したとも思えないところもあるが、あまり深く考えずに本を出すというところがこの作者の魅力ということだろう。