物語の後半から、とてもせつなくなり、たびたび涙を流しながら
読み進めました。
馴染みのないチェスの話ときき、読むのをためらいましたが、
数学嫌いでも博士の生み出す数字の美しさが伝わってきたように、
きっとチェスを知らなくてもそれらが醸し出すメッセージを
受け取ることができるのではと思い、読み始めました。
実際、その通りでした。
全ての小さなエピソードが美しく細やかに織り重なっていて、
ここで物語の要約を書くことができません。
一言でいえば、猫と象と一緒に、リトル・アリョーヒンが静かに
進んでいった、冒険のお話し。
小川洋子さんは、社会的に弱い人や、不器用な人たちを
愛のこもった言葉と文章で丁寧に描き、
いつのまにか彼らの強さと美しさを読者に伝えることができる
素晴らしい作家だと、今回改めて思いました。