書店で時間つぶしの本として買った。表紙の絵がかわいらしいのに惹かれた。読み始めて「これはいい作家を見つけた!!」と興奮したぐらい、この本を見つけた偶然に感謝した。
戦後間もない昭和。テレビさえない時代。仁木兄妹はある個人病院の2階の部屋に下宿することになる。兄は植物の研究をしている学生。ちょっとオタクっぽくておっとりめ。すらりと背が高く、妹と仲良し。妹は音大の師範科に通う学生。好奇心旺盛で行動力もある。
下宿に引っ越してきた途端、失踪事件と殺人事件が発生。探偵小説が大好きな好奇心旺盛な妹と兄は事件を調べ始める・・・・・
という話。
作者は1928年生まれ。リアルタイムで昭和のこの時代を知ってるだけに、言葉遣いや当時の生活がとってもレトロ。謎解きの面白さ、仁木兄妹の会話の面白さに加えて、今の時代とは大きく異なるこの当時のおっとりとした情景を楽しめる。ただし時代が違いすぎて「それ、何?」と思う単語に出くわすことも多々あり。でも大丈夫。最後の解説に載ってるから。
個人的にはラストがいささか唐突というか、今の小説には必ずある「エピローグでの他の登場人物に関する後日談」がないのでちょっと驚いた(笑)アノ人は結局、アノ人とどうなったんだ、とか、○○ちゃんはどうなったの?とかがわからないまま。しかしそれでもこの小説を読んでた間は極上の時間だった。