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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
不思議な音楽が続きますが、それがかえって心地よくなってきました,
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レビュー対象商品: 猫の歌 (CD)
何の先入観もなくこのアルバム、例えば3曲目の「『水牛』の歌」を聞いたとしましょう。リスナーはこのジャンルも時代もエリアも捉えることのできない不思議な音楽をどのように感じるのだろうか、という思いが募りました。事前に高橋悠治氏の作品だと知っていなければ、中世の音楽ではと思うような雰囲気が漂っていました。この捉えどころのない浮遊感が印象に残る曲です。年を重ねることに聞く音楽も保守的になりそうでいやなのですが、ここに収められた音楽との出会いがまた現代歌曲の地平の広さを知る切っ掛けになりそうです。聴き手も選びますし、一般受けするアルバムではありません。 モートン・フェルドマンやクルト・ワイルの曲も同様でした。若い時から名声を博した奇才高橋悠治氏も70歳を超えたわけですが、ピアニストとしても本アルバムで実に感性豊かな演奏を残しています。枯れた味わいと言えば、高橋氏に怒られるかもしれませんが若い時の才能あふれる個性的で攻撃的な音楽とはまた違う魅力を感じることができました。 ただ、何よりメゾ・ソプラノの波多野睦美の巧さがこのアルバムの特徴でしょう。イギリス・ルネサンスのリュート・ソングを得意とし、古今東西の歌曲を歌ってきた経験が一筋縄ではいかない曲群を前にしても自分の音楽に消化していました。まるで大女優が舞台の上で1人語りを始めたような雰囲気が漂います。人間の声という多彩な表現を駆使できる「楽器」の素晴らしさを再確認させるものでした。 「長谷川四郎の猫の歌」になって初めて日本語の曲に辿り着いたわけですが、意味が分かるだけに余計に捉えどころのない浮遊感に戸惑いました。これも特徴でしょう。 パーカッションのクリストファー・ハーディは上手いサポートでした。これは2010年11月29日〜12月1日に、岐阜のサラマンカホールで収録されたものです。ホール・エコーを上手く拾っており、録音の素晴らしさもまた魅力となっています。
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