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猫に時間の流れる (中公文庫)
 
 

猫に時間の流れる (中公文庫) [文庫]

保坂 和志
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

飼い猫のチイチイとパキ、野良猫のクロシロとぼくたちの関係は、微妙な緊張と調和を保っていた…。何かがわかっているような何もわかっていないような猫たちとの日々―。世界との独特な距離感に支えられた文体で、猫たちとの日常‐非日常という地平を切り開いた新しい猫小説の原点。

内容(「MARC」データベースより)

「猫を見ているときの気持ちはたとえば海を眺めている時間と似ているのかもしれない」。トットットットッと早足で歩くボス野良猫クロシロが出現し、誇りを失うまでに流れた5年。猫への深い愛と洞察に満ちた猫小説。* --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 220ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2003/03)
  • ISBN-10: 4122041791
  • ISBN-13: 978-4122041790
  • 発売日: 2003/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 三人と、二匹と、一匹。初めはそれぞれの自我の世界を越えなかったお互いが、やがて少しずつ解け合って重なり合っていく。
 人の目を避けて生き、たまに視界に現れては喧嘩をふっかけたりはた迷惑なマーキングを残すだけだった野良猫クロシロが、次第に僕たちの心にその領域を広げていく様のゆったりとした描写は、この世に生きる無数の生命が互いに干渉し合い作用し合う静かな化合の奇跡を、そっと読者の前に指し示す。
 ふと、宮沢賢治の「すべてが私の中のみんなであるように、みんなのおのおのの中のすべて」という言葉を思い出した。
 猫の中にだって、ひとつの宇宙があるのだ。
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13 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
世田谷区大原のマンションに住むぼく。片側にはチイチイという名前の猫を飼っている美里さん、そして反対にはパキという猫を飼う西井が住んでいる。その三人と二匹と、野良猫クロシロの交流を通して、都会の片隅における生の断片を描き出した作品。

保坂氏の作品にはいつも、氏ならではの静謐な不思議な空気が漂っているのですが、この作品もそうした味でいっぱいです。猫との交流が生活の中心となっている三人組の世界には、他の人物はあまり出てきません。そのミニマリスティックな箱庭のような世界観は、はからずも現代の都会における生の在り方をとらえているように思います。「現代という時代に育った者にとって、プライバシーというものは守ることより侵すことの方がずっと難しいのだとぼくは思う」、と本文中にありますが、そんな他者との距離感が静かな諦めとして伝わってきます。

所収のもう一篇、「キャットナップ」も猫をめぐっての人間関係を淡々とした筆致で描いた作品。

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