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猟銃・闘牛 (新潮文庫)
 
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猟銃・闘牛 (新潮文庫) [文庫]

井上 靖
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、妻・愛人・愛人の娘の三通の手紙によって浮彫りにした恋愛心理小説『猟銃』。社運を賭した闘牛大会の実現に奔走する中年の新聞記者の情熱と、その行動の裏側にひそむ孤独な心情を、敗戦直後の混乱した世相のなかに描く芥川賞受賞作の『闘牛』。無名だった著者の名を一躍高からしめた初期の代表作2編の他『比良のシャクナゲ』を収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井上 靖
1907‐1991。旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。’51年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(’57年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(’69年)、「孔子」での野間文芸賞(’89年)など受賞作多数。’76年文化勲章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 239ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1950/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 410106301X
  • ISBN-13: 978-4101063010
  • 発売日: 1950/11
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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ドイツで複数の友人が翻訳されているこの本の話を読んでいて、こりゃ読まなきゃ話しにならないということで…
読み始めてすぐにこの小説をずいぶん若い時に読んだとを思い出しました。しかし細かい事や終わりも何一つ覚えていません。最後まで読んでみると、これは大人になってから読むモノだと実感しました。少年少女文学全集的な読み方では、この本の良さは理解できないでしょう。言葉使いが古い事もあり日本人が日本語で読むと古さ感じるかもしれませんが、書かれている内容は今もドイツ人に日本人の感情についてうまく伝えられていると思います。
美しい文章の小説を読んだと実感できる一冊です。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 学生時代、井上靖と同級だった美学の教授が、講義中ちょっとした懐古談をしたのを覚えている。詳しくは忘れたが、井上は立派なものだ。彼は学生時代から小説家をめざしていた。まず「詩」を勉強し言葉(表現)をみがく、卒業したら新聞記者となり、社会・人間を広く知る。小説にはさまざまな題材が必要だからね、と言っていた。計画どうり彼は毎日新聞で14年間記者をやって、小説を書き始め作家として成功した、というものだった。

「猟銃」は井上の処女作。ここで既に、後の中・長篇ロマン(「渦」「あした来る人」「氷壁」「憂愁平野」など)で追求される井上文学の中心テーマ――人は愛し愛されることを求めて生きていく。だが満たされる愛などあるだろうか、結局は孤独と憂愁を抱えて生きていくのが人間存在ではないだろうか――は色濃い。

従妹みどりの夫三杉と不倫関係におちいった彩子は、三杉と共に「みどりのみならず世間すべてを欺こう、二人で悪人になろう」と決意する。秘密は死守しなければならない。みどりに知れた時は、自ら死をもって罪を償う時だ。みどりはこれを当初より感づいているが黙認し十数年が経過する。そして破局の時が来る。病床の彩子を見舞ったみどりは、彩子が三杉より贈られた紫の薊を浮き出させた羽織をまとって床に座っているのを見て、思わず「思い出のお羽織ね、これ」と口走り、彩子の顔は硬直する。

死後三杉宛ての遺書で、彩子は意外な事実を告白する。あれほど罪の意識に苦しみ、みどりに知れたら死のうと思っていたのは<滑稽な夢想>で、自分には<一匹の小蛇>が潜んでいた。生きる支えを失ったのは、奇妙にも、長い間意識することもなかった離婚した彩子の夫がとうとう再婚したのを知ったためだという。

小説は、この物語の語り手である「私」に、三杉がみどり、彩子、彩子の娘からの手紙3通を提示する構成となっている。「私」は三杉の添え書き<自分が猟銃に興味を持つに至ったのは、もう数年の昔にさかのぼることで、その頃既に猟銃は私の肩になくてはならぬもののようであった>を何度も読み返すうちに、三杉がこれ等三様の告白から知り得た新しい事実は何もなかったのではないかという気がしてくる。

三杉は妻を愛そうとして果たせず、彩子との愛に賭けはするものの、満たされた究極の愛などないことを予感している。「私」が天城山麓で見かけた、猟銃を肩にゆっくり山道を踏みしめて登っていく孤独な後ろ姿が三杉だったのだ。

井上文学から深遠な哲学を読み取る必要はない。ただ比類のない詩情、清澄なリリシズムを愛しながら、大人のロマンに浸ればいいのだと思う。
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 井上靖氏の作品との出会いは、「しろばんば」「夏草冬濤」「あすなろ物語」であった。それらの作品群とは異なる初期の作品である。
 毎日新聞社記者生活14年を経て、初めて世に出した小説「猟銃」は、不倫をテーマにした書簡型小説。愛人の娘、愛人、妻、それぞれからの手紙が、真実を伝える。
 「闘牛」は芥川賞受賞作品。夕刊専門誌の新聞社主催で、西宮の球場で牛相撲(闘牛)大会を開催する。成功させるために紛争する男の物語。  「比良のシャクナゲ」は、老医学者が人生の転機で訪れる琵琶湖畔堅田の旅館で語る家族への不満。勝手で孤独な老人の愚痴が涙と笑いを誘う。
 作家が初めて世に送り出す作品は、どれも魂がこもっている。「孤独」を心に抱えながら必死でがんばる登場人物たちの姿が、痛々しくもあり、涙と笑いを誘う。井上靖の原点となる作品をぜひお読みいただきたい。
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読みやすかったです
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