今は亡き名優、チャールズ・ブロンソンによる1974年の作品です。監督はアクション物の巨匠マイケル・ウイナー。もしかしたら興行的には次作「ロサンゼルス」のほうがよかったのかもしれませんが、一市民、ポール・カージーが妻子が暴漢に遭い、妻を失うことによって、復讐の鬼となる「自警団」に変身していく姿が淡々と描かれています。
「ロサンゼルス」以降になると、ストーリーの落とし所が「自警団=正義」、「暴漢=悪」の勧善懲悪型へと単純化され、一種のカタルシス的な味わいが濃厚になりますが、本作では、復讐に伴う苦悩、人が人を裁くことに対する是非など、ポール・カージーの内面にまで踏み込んでいます。事件には無関係の窃盗犯を射殺してしまい、部屋に戻って嘔吐してしまうように、内面的な迷い、苦悩が見て取れます。ですから、シリーズの後半(特に3作目以降)を見てファンになった人が、アクション物特有の爽快さを期待すると、見事に期待を裏切られます。バックに流れるハービー・ハンコックのエレピも殺伐とした都会の情景を表現するうえで実に効果的です。
ところでラストシーンで新たな勤務地に着いたときに見せた、カージーの例の仕草が謎めいていますが、これはシリーズ化への序曲だったのでしょうか?