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だが、初めて読んだ時の鮮烈な衝撃はすごいものだった。
とにかく繊細で美しい文章、フランス田園の生き生きとした写実的
描写、登場人物達の沈思・懊悩・壊れそうな関係と感動的な会話。
こういう繊細で内省的な緊張感を伴った恋愛表現は、オープンな
恋愛表現より日本人の伝統的な嗜好にも合う。
私は男だから、神性を感じさせる寂しそうな従姉のアリサに精神的
すぎる憧れを抱くジェロームの気持ちはよく分かるのだが、それ
以上にアリサの怖れ・不安と、それに続く破滅的行動(自己犠牲的
だが、少し違う)に共感するものがあった。
アリサを自己犠牲とか信仰に殉じたと呼ぶのに抵抗がある。
むしろ信仰は後付けのアリサなりの理屈に近い。アリサは自分に
そう言い聞かせ実践していかなければ、自分を納得させられ
なかったのだ。信仰よりも、自分の幸せに向かって突き進めない
気質の方が直接の原因だろう。
後半の「アリサの日記」の必死で痛々しい神への言葉がつらい。
「狭き門」を愛読書の最上位におく人はけっこういるのだが、私も
含めて思春期に読んだ人にそういう傾向が見られる。恋愛や社会
生活を実感できないでいる時期の方が共鳴しやすいということかも
しれない(ジッド自身、そういう気がある作家だ)。
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