映像特典との2枚組で発売されているこの『ラブ チャップリン』シリーズですが、全タイトルの中でもこの作品の特典は凄いです。何といっても1999年に見つかったという、兄シドニーチャップリンの撮った撮影模様のカラー映像がついているのですから・・・。ヒンケルや床屋がカラーで動いています。同年同月に生まれたチャップリンとヒトラーの人生を対比した1時間ほどのドキュメンタリー『放浪者と独裁者』などともかく映像特典はファンにとっては見逃せませんし、20世紀の歴史の貴重な資料だと思います。
本編については『社会』と『笑い』に真摯に対峙しているチャップリンの姿勢が一番顕著にあらわれた作品でヒトラー全盛期にこの作品を作ったというその勇気と歴史の先見性に対する感動も大きいのですが、ギャグも典型的なスラップスティックなもの(巻頭の戦争シーンはまさしくドリフターズ等々の教科書です)からブラックなものまで非常に豊富で何度見ても笑えます。
ただ、このシリーズをとおして感じるのは、豊富な映像特典はファンにとって非常に貴重なのですが、チャップリンの伝記の著者デイヴィッド・ロビンソンによるイントロ(この『独裁者』のみついていないのですが)だけを本編の冒頭につけた廉価版も併せて発売し、より多くの人がチャップリンの作品を手にするほうがいいような気がしました。正直、既に以前のDVDを持っているコアなファン以外には映像特典は濃すぎて全部は見切れないのかなという気もします。