ポジショニング戦略で有名なトラウトの本。
実はこの人、昔からずーっと同じ事を言っている。
ポジショニングとフォーカスを徹底し、独自性を追及する。当人の説明を借りれば、マイケル・ポーターの唱える「ポジションング」を、では具体的にどうすれば実現できるのかということを示そうとする。しかし、いつまで経っても世の中の多くの企業は不思議なくらい理解しない。だから、いつまでも語り続ける必要があるそうだ。「マーケティング担当者は独自性にこだわり続けなければならない」と。
本書の最大のポイントは、マーケティングとは思考力と理性に基づく「論理的なプロセス」だという主張だろう。ところが、アメリカでは(そしておそらく日本でも)、「クリエイティブな思い」に頼ったマーケティングをやっている企業が多すぎる。科学ではなくアートであろうとして失敗する。
「マーケティングとは、見込み客の意識の中で闘われるゲームだ」「商品が良いだけでは勝てない。良いと認識してもらえば勝てる」「独自性を伝えるのにやりすぎるということはない」。
面白い。説得力のある強力なメッセージを散りばめ、これでもかというくらい、たくさんの実例を次々繰り出してくる。何しろ、アメリカ国務省や民主党からも戦略立案の依頼が来る人だ。豊富な経験が主張を空論に終わらせない。その点が、学者の書いたものと決定的に異なっている。
「CEOの失敗をつぶさに眺めてみると、執行以前に、そもそも戦略がまずかったケースが目立つ」。
独自性の追求は、我々が重要だと思っている以上に重要なものなのだと強く感じる一冊。