『独房』は、アカの活動で捕まった元囚人の獄中体験口述を筆記した、という形式の掌篇集、
『党生活者』は、とある工場内で活動に従事する共産党員らの姿を描いた短篇である。
『独房』は本当に普通の獄中体験記であり、政治色が薄い。
設定上囚人がアカであるだけで、アカではない囚人との本質的な違いが分かりにくいのである。このことは巻末解説でも批判されている。
プロ文としての完成度がどうなのかはさて置いて、獄中小噺集としては面白いと思う。朗らかでノンキだ。
『党生活者』は、語り手の同志である女:伊藤と語り手の同棲者である女:笠原(非党員)の存在が際立っていた。
「女がマジメにアカをやるとどうなるのか」「普通の女がアカの男を養いつつ同棲することの大変さ」が見える。
巻末解説ではこの作品における女の姿の読み解き方が示されているが、それが中々良かった。
「普通の文学的な読み方」とは違う「プロ文的な読み方」で読むと、女の姿の意味合いがかなり異なってくるようである。
然し、作品内には読者を「プロ文的な読み方」に導くような仕掛けはなかった。そこはチト苦しいかもしれない。
ともあれ、どちらも読み易い作品である。
作者の明るく朴訥な、テンポの良い語り口には、単なる「共産主義の為の芸術」の範疇に留まらない浪漫が感じられた。
ちなみに下ネタ要素も点在している。