本作では上・中・下と別れ、上ではクルスク戦、クルスク突出部が形成される過程の戦闘、スターリングラードの破局からハリコフ攻防戦を描き、中・下巻ではクルスク戦後のドイツ軍の切羽詰まる後退戦闘が主な内容です。全巻通して戦闘の舞台裏である将軍と独裁者の意見対立やスパイの暗躍、そして前線で戦う史実の兵士達のドラマが迫力ある文章で述べられています。特にこの兵士達のドラマは感動的でありまさに兵士の鑑である。極限の状況下での彼らの献身は読者の心に強く響く。そして前線の破局を阻止せんとヒトラーと頑強に渡り合うドイツの将軍達、特にマンシュタイン元帥とヒトラーのやり取りは現場の雰囲気が直に伝わってくる。プロイセン貴族出身のマンシュタイン元帥と政治家であるヒトラーの戦争指導での意見対立がとてもよく描かれていて面白い。上巻ではクルスクでの攻勢「城塞(ツィタデル)作戦」を開始するに至る“政治的”理由や攻勢を決定するに至る上層部のやり取り、スパイの諜報戦、クルスク突出部が形成されるに至るスターリングラード戦後のハリコフの戦い、そしてハリコフ攻防戦・クルスク戦での独軍兵士達の戦い様、城塞作戦の推移、作戦の失敗までが描かれる。中、特に下巻では上巻を上回る切羽詰った展開があり、マンシュタインとヒトラーのやり取りは特に注目だ。上中下揃って買うことをオススメする。