かの「都立松沢病院」に勤務経験を持つ、現役の精神科医の手による本。本書は一般向けに「精神障害」を紹介している。内容は平易で、主に作者の経験したケースを元に書かれている。
特異なのは、例題に描かれているのが、精神科救急外来や触法精神病患者、外国人患者、ジャンキーといった、普通ではあまり触れられていない、精神科の闇の顔であることだ。 中にはかなりショッキングなエピソードもある。それらが書かれているのが、抑え気味の平易な文章であるのが逆に不気味に感じる。
作者は、精神科の患者の中でもとりわけ問題となるケースに対する(日本という国の)システムの脆弱さだ。特に触法精神病者(たとえば人を殺してしまった精神病患者)の扱いについて、怒りにも似た熱意で制度の欠点を指摘している。