今回の番外は乱崎家の子供っぽくも物騒な三男、雹霞と友達以上恋人未満なほのぼのとした関係を継続中の、パチンコ屋の娘さんこと鷹縁切子を中心に、FBSPとFBOLに掲載された作品と書き下ろしも加えて4編の短編が収録されています。
本編四さつめの半獣事件の後、色々思う所あって旅に出た切子ですが、旅の途中で幽霊に取り憑かれた上、豪雪に遭って立ち寄った温泉宿がぼったくりで宿代を払うために働く羽目になったり(「熊殺シ温泉殺人事件」)、その温泉宿に乱崎家の面々を招待したところに悪魔が魂を奪いにやって来たり(「その気がなくてもドジデビル」)、旅の締めくくりに雹霞が生まれた場所で、切子の姉が死んだ場所でもある尋常人工生命開発研究所の跡地へ立ち寄ったら、たまたま目覚めていた生物兵器に捕まったり(「そばかす小公女」)と言う具合に、次々と災難に見舞われます。
どのライトノベルにも1人か2人、そういう不幸体質なキャラクターっているものですが、でも彼女はそれでくじけたり自棄になったりしません。それは自分のことを心から気に掛けてくれる人(?)がいるからというのもありますが、彼女自身が持つ心の強さによるものでしょう。作中の彼女の台詞の一部、「わたいはな、『可哀想』って思われるのがいちばん嫌やねんよ」という所に、切子のそうした強さの一面を垣間見ることができます。
そんな彼女でそんな話ですから、最後に収録されている書き下ろし「今夜だけシンデレラ」は雹霞が語り手で、子供っぽい口調ながらも時々物騒なことを言ってきたり、例によってと言うべきか凶華達狂乱家族が雹霞と切子のデート(?)を盛り上げようとあれこれ仕掛けてきたり、狂乱家族に恨みを持つ某人物が復讐を企んだりと狂乱まみれのストーリー展開ですが、最後はちゃんとハッピーエンドですので安心して読んでください。やっぱり切子みたいな良い子はちゃんと報われるべきだと思いますしね。