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実際の事件や小説・映画などを引き合いに出して、具体的に紹介しているので、とてもわかりやすい。引用されている小説や映画にはそそられるものも多く、毛色の変わったレファレンス・ブックとしても楽しめる。
逆に、紹介されている心理を、実際の事件や小説・映画などにあてはめて考えるおもしろさもある。たとえば『迫害される恐怖が心に染みついた人間は、適度な反撃、相応の反撃という”加減”を知らない。それは激しい復讐心というよりも、そこまでやらなければ反対に滅ぼされるという恐怖がよぎるからだ』との記述があるが、まさに今のイスラエルの姿勢そのものだと思う。
一般的な犯罪者の話だと、自分はそうはならないとまだ思えるのだが、ごく普通の人間を”犯罪者”にしてしまう心理プロセスは恐ろしい。たとえば、制服を着て、集団の中にまぎれて個性を失うと、普通の人でも残酷になる傾向があるという。最近読んだ「戦場のピアニスト」でも、ナチスの手先となって同胞を弾圧するユダヤ人警察官について『ひとたび制服を着、警官帽をかぶり、ゴムの棍棒を持ったとたん、人格まで変わってしまう』との記述がある。また、強い権威者に命令されると、普通の人の多くが命令に服従して残酷な行為をしてしまう…という心理実験の結果も、背筋がゾッとする。この種の”犯罪者”にはなりたくない、どうせなら自分の意志で動く犯罪者になりたいと思う。